逃げ恥新春スペシャルで、平匡さんの育休を取ることに難色な上司に対して、
これは権利なんだから、『さも当然』な顔でいきましょう
とみくりが言うシーンがありました。
さも当然…ちょっとした話題にもなりました。
通用するのか、今の日本。
オーストラリアは、一般に長期休みが取りやすいと言われています。
そこには日本とのどんな違いがあるのでしょうか?
オーストラリアの育休制度や雇用について、私が経験した日本の病院や、オーストラリアの介護施設での働き方を通して紹介していきたいと思います。
オーストラリアの育休制度
オーストラリアの育休制度は、無給育休と有給育休の2つがあります。
簡単にまとめるとこちら。
当該雇用者に12か月以上雇用されている場合に申請可能
最長12か月、24か月までの延長を希望することもできる
出産予定日の6週前から取得可能
配偶者も取得できるが、両親が同時に取る場合は最長8週まで
市民権・永住権保持者が申請できる、政府から支払われる育休
①Paid Parental Leave(母親が取得できる育休)
- 最長18週
- オーストラリアの最低賃金の額(2021年現在$150.78/日)
- 会社で有給の育休があれば、別途追加で支払われる(会社による)
②Dad and Partner Pay(父親または母親と共にメインで育児に当たる人が取得できる)
- 最大2週間まで
- オーストラリアの週の最低賃金の額(2021年現在$753.90/週)
雇用主へは、最低10週前までの申請が必要です
詳細はこちらで>>Australian Government Fair Work
Australian Institute Family Studyの調査によると、
オーストラリアでフルで育休を取る女性は95%、男性は20人に1人。
しかし、調査を行った男性の85%は4週以内の育休は取得しているとのこと。
でね、調べてみて分かったのですが、実は制度としては日本の方が手厚いんですよ。
期間:出産予定の6週前~1歳まで(2歳まで延長可能)
夫婦同時申請可能
給料は年収に応じて支払われる
- 出産手当金(産休期間) 給料の2/3
- 育休~6か月まで 給料の67%
- 6か月以降 給料の50%
有給期間も長いし、夫婦どちらも同じ期間取得できる。
支払額も自分の給料額に応じてなので、稼ぎがある人ほど得ですよね。
そうはいっても2019年度の育児休暇取得率は、
男性が7.48%、女性83.0%
(厚生労働省「雇用均等基本調査」より
改めて数字を見ると、
まだまだ男性が取るには優しい環境とはほど遠いのが現実ですね。
オーストラリアの育休は「さも当然」なのか
日本と比べたら、間違いなく「さも当然」と言えるでしょうね。
職場の妊婦さんは、みんな笑顔で去って行くし、
送り出すスタッフも、おめでとー!と快く送り出しています。
私の夫も、3人の子どもたちそれぞれが生まれる時に2~4週間育休を取りましたが、申請すれば父親側も希望通り取得できます。
日本であれば、子どもの入学式、卒業式の一日でさえ休みが取れず嘆いている男性の友人をみているので、週単位の育休なんて、権利とはいえそうそう簡単にはいきませんよね。
難色を示されるのが現実。
その点を考えれば、オーストラリアの職場は、男性にも子育てしやすく、働きやすい環境であることが実感できます。
しがらみなく有給に入れるオーストラリアの職場体制
私が考える、オーストラリアの職場でしがらみなく送り出してもらえる理由は、
現場で働く他のスタッフに降りかかる負担が少ないことにあると思います。
特に、私や夫の働く介護医療の現場で考えると、
日本の様に一律の正社員ではなく、
個人が就業形態や、週何時間働くかで契約しているので
→欠員が出ても自分の契約以上のシフトを振られることは早々ない
欠員が出た際、病院お抱えもしくは外部の派遣スタッフで補充
→今いるスタッフで回せという無茶ぶりが少ない
つまり雇用形態が個人にフォーカスされている、そして管理職がきちんと人員確保している点にあります。
自分に負担が少なく、仕事が回るのであれば不満は出ない。
日本の病棟事情と働きやすい職場を考える
私が日本でナースとして働いたある病院では、
朝の申し送り時のスタッフからの妊娠報告、あれは公開処刑に近かった(笑)
「ご迷惑かけると思いますが、よろしくお願いします」
の後の、みんなの無言のうなずき。
こわ(笑)!少しはお祝いの言葉かけようや。
でもわかる、日々の業務をまわすのにいっぱいで、こころに余裕がない。
もちろん産休/育休は権利であり、妊婦は危険や重労働を避ける必要がありますが、
日本のせちがらい社会ゆえ、妊婦は気を使って無理に働こうとするし、
周りはフォローしつつも、「働くなら最低限はやってほしい」という雰囲気が漂っている。
さらに、妊婦が仕事中体調がすぐれなくても、その日の頭数に数えられていれば、
いなくなったら業務が回らない…という無言のプレッシャー。
さらに他のスタッフは夜勤の回数が増えて、疲れもたまる一方。
だから、さも当然顔なんかされたら反感買ってしまうのが現実。
だって負担はいつも働く下々のスタッフだもの!
でもこれって、そもそも管理者が雇用形態を調整できないから生じるわけで、
もう令和なんだし、もう少しフレキシブルに人員確保や配置をしてみてもいいんじゃないか、と思うんですよね。
派遣制度や、病院お抱えのフリーランススタッフ制度(その日の欠員をそこから補って、他のスタッフに影響させない)が出来たら、潜在看護師も集まりやすいんじゃないでしょうか。
病院の提示するフレキシブル | ナースの期待するフレキシブル |
パートや時短可能 | 就業時間、曜日を選べる |
休日や明けに病棟会に呼ばれない | |
急に休みを取ってもカバーされる |
この病院と個人の認識のギャップを埋めた、もっと働くスタッフ1人1人のニーズに合わせた「働きやすい職場」が増えるといいのになぁ、と勝手に外部から思っております。
まとめ
妊婦さんはじめ、支える家族が当たり前に育休を取れるオーストラリアは、子育てや働くことにおいて、生活しやすい社会だと感じています。
育休だけではなく、有休も会社やスタッフに遠慮することなく取れることが出来るので、仕事と生活のバランスも取りやすい。
逃げ恥では平匡さんが育休を取るにあたって、
沼田さんがバシッと言ってくれたけど、あんな上司はきっとまだまだレアでしょう。
あまり逃げ恥を盛り込むと、見てない人へのネタバレにもなってしまうので、このくらいにしておきます(笑)
さも当然とはまではいかなくても、休みを取りやすい、復帰しやすい、日本もそんな人にやさしい流れになっていくことを期待して。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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